医師の診察や処方箋を必要する処方薬、薬局やドラッグストア等で入手できる薬等、薬と言えばこの2つに分けられれることは皆さんもご存知かと思われます。ちなみに前者は「医療用医薬品」へ後者は「要指導医薬品」や「一般用医薬品」へ、計3つに分類されています。
「あれ?2つに分けられているんじゃなかったの?」という方もらっしゃるかもしれませんね。しかし「分類」としては大きく分けてこの3つとなり、ここから更に分かれて行きます。
今回は「薬の分類」について、その種類や種類ごとの概要に触れていきたいと思います。
昨日、あなたがドラッグストアで購入した胃腸薬はどの分類になるのでしょう。興味がありませんか?
長い人生の中でヒトと薬は切っても切れない関係。
常用中の方はもちろん稀にしか利用しないという方にも決して無関係ではなく、知っておいて邪魔になる知識ではありません。
服用中の薬の理解に、今後の薬選びに、健康食品との兼ね合い等、検討材料になって頂ければ幸いです。
薬にはどんな種類がありますか
薬は、医療用医薬品(処方薬)、要指導医薬品、一般用医薬品の3つに分類されています。さらに、一般用医薬品は第一類から第三類までの3種類に分けられています。医療用医薬品は、患者さんの症状や体質に合わせて医師が処方する薬です。
また、要指導医薬品と一般用医薬品は患者さんが自分の症状に合わせて薬局で買える薬を指し、OTC医薬品、市販薬、大衆薬とも呼ばれています。
- 医療用医薬品
- 患者さんの症状や体質に合わせて医師が処方する薬です。
- 要指導医薬品
- 患者さんが自分の症状に合わせて薬局で買える薬で、OTC医薬品、市販薬、大衆薬ともいいます。
- 一般用医薬品
- さらに第一類から第三類までの3種類に分けられます。また、「要指導医薬品」の概要にに同じ。
医薬品の分類
医薬品の分類はこのように、大きく分けて3つとなりますが、取り扱いの条件や目的によって、薬事法に基づき更に分けられることとなります。
ではもう少し詳しく内容を見ていきましょう。
医療用医薬品
医療用医薬品は、患者さん一人ひとりの病気や症状、体質などに合わせて医師による処方箋の下、薬剤師が調剤する薬です。
薬の効果は期待される反面、副作用が出る恐れもあるため、医師や薬剤師の指導が必要な薬です。
要指導医薬品
要指導医薬品は販売・購入の際に薬剤師が対面で情報提供や指導などをすることが義務付けられています。
処方せんが不要な医薬品(一般医薬品)の中で、一般用として使用期間が短いものや、リスクが不確定または高い医薬品が該当します。主な要指導医薬品以下の通りとなります。
- スイッチOTC医薬品
- 医療用医薬品から一般用医薬品に移行したもので、承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの。ただし、移行後原則3年の調査等で安全性が確認できれば一般用医薬品に移行する。
- ダイレクトOTC医薬品
- 国内で医療用医薬品としての使用実績のない有効成分が、直接的にOTC医薬品として申請され承認されたもの。承認を受けてから4~8年の再審査期間で調査等を行い、安全性が確認できれば一般用医薬品に移行する。
- 劇薬
- 生体に対する作用およびリスクが強い医薬品
尚、後述する一般医薬品(第一類~三類)はインターネットでの販売が可能に対し、要指導医薬品はインターネット販売ができない医薬品となります。
一般用医薬品
一般用医薬品は、第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品に分類されます。
第1類医薬品
第1類医薬品は、一般用医薬品として使用実績が少ないものや副作用・飲み合わせなどで安全性上に注意が特に必要です。薬剤師の説明を受けないと購入できません。
第2類医薬品
第二類医薬品は、副作用・飲み合わせなどで安全性上の注意が必要とされています。希望者(患者)への販売対応には薬剤師はもちろん、講習を受けた登録販売者も可能です。
第3類医薬品
第三類医薬品は、副作用などで安全性上、多少の注意を必要とするものです。薬剤師または講習を受けた登録販売者が対応できます。患者さんへの説明は基本的に不要とされています。
第4類医薬品
平成11年、16年に医薬品から医薬部外品に移行された製品全般を指します。人体への改善効果を所持するものの作用は弱く副作用の危険性が低い等、安全上問題がない分類となり、一般的には医薬部外品と呼ばれています。詳細は、次項「医薬部外品は医薬品か」を参照下さい。
医薬部外品は医薬品か
前述の通り、医薬部外品は一般用医薬品(OTC医薬品)の一種として第4類医薬品に分類されていますが、これは厚生労働省により便宜上のこととなります。
では実態としてはどうなのでしょうか?医薬部外品は医薬品か否か。
中間的な位置づけ
医薬部外品は、広義では一般用医薬品には含まれません。医薬品と化粧品の中間の製品を指します。これは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下より「薬機法」と表記)」によって定められています。
いつものコンビニで手軽に入手できる
皆さんもよく行かれるコンビニエンスストアやスーパーマーケットでも取り扱われているのが医薬部外品です。ビタミン剤や薬用化粧品、歯磨き粉等、薬とは縁遠い方でも利用したことはあるのではないでしょうか?
医薬部外品は、薬局薬店はもちろんのこと薬剤師または講習を受けた登録販売者が在籍していない店舗でも入手できます。
手軽に入手できるからこそクリアされている絶対条件
医薬部外品として分類される為には、人体への改善効果があり、且つ作用が弱く、また副作用の危険性がないことが条件となります。
- 吐きけ・その他の不快感・口臭・体臭の防止
- あせも・ただれ等の防止
- 脱毛の防止・育毛や除毛
- ヒト・動物の衛生保持を目的とした、ネズミ・ハエ・蚊・蚤(のみ)等の駆除や防止
薬機法で医薬部外品は、以上の目的の為の製品、と定義付けられています。
医薬部外品の種類
医薬部外品も更に種類が分かれ以下の3種類となります。恐らくは皆さんのご家庭に最も馴染みのあるものばかり。ぜひこの機会にいつも愛用している歯磨き粉や化粧品の本体の表示を確認してみて下さい。
- 指定医薬部外品
- 元々医薬品として販売されていたが、2009年度の薬事法改正による規制緩和に伴い医薬部外品として売り出されるようになったもの。一部ビタミン剤など。
- 防除用医薬部外品
- 薬機法で定義されている害獣・虫を駆除するための製品。殺虫剤、殺鼠剤、虫除け剤など。
- 医薬部外品
- 2009年度の薬事法改正以前から、医薬部外品として販売されていた製品。虫歯予防の歯磨き粉や制汗剤、薬用化粧品など。
おわりに
いかがだったでしょうか?医療用医薬品と一般医薬品との違いであれば、医師の処方箋の有無がポイントとなり理解しやすいことではありますが、一般医薬品の中での分類は小分類も含め、想像以上に多かったのではないでしょうか?
医師の処方や薬剤師の説明等の義務化がなされている薬は、むしろ私たち利用者からするとある意味「身の委ね易さ」を感じることができますが、反対にその義務化がなされていない医薬品等は、気軽に入手こそ可能ですが十分な注意が必要です。
ご自身の体質や既往歴等も踏まえ、薬剤師への相談の下でお求めになることも検討されるのも良いかと思われます。そんな想いもあり、特に医薬部外品については少々長めの説明を加えさせて頂きました。
皆さんの、薬との暮らしがより快適になるよう、参考になれば幸いです。