2013.5.25
衝撃的なニュースが世界を駆け巡った
中東で発生した新型ウイルスの感染がヨーロッパへ拡大。
WHOによれば8カ国で44人の感染が確認されその半数が死亡しているとのこと。
日本でも感染者を早期に発見できるできる体制を整えられる一方、厚生労働省は医療機関に対し、「アラビア半島やその周辺に行ったことがあり、症状が一致する患者を診察した場合は至急報告するように」と要請している。
そのウイルスに感染すると、高熱、重い肺炎、呼吸器の異常を来たし、実の50%の確率で死に至るという。
今世界の人々を恐怖に陥れている殺人ウイルス。その名は「新型コロナウイルス」。
形が太陽の「コロナ」に似ているということから名づけられた。
2013.5.12
恐怖の幕開け衝撃的なニュースの約2週間前、WHOが開いた会見だった。
「新型ウイルスは、至近距離にいる人から人へ感染する可能性があります。」
そして恐れていた事態が現実に。
サウジアラビアの病院で感染者と同じ病室にいた患者と看護婦が発症。
人から人への感染が確認された。
「新型のウイルスというのは、我わ人類にとって未知のウイルスです。ワクチンも間に合わないし、薬もない。その為、大きな流行を起こして犠牲者が出る可能性がある(元厚生労働省職員 白鷗大学 教授 岡田晴恵氏)」
感染症の治療には、抗生物質が用いられることが多いが、抗生物質は細菌に聞く薬。ウイルスには全く効果が無い。
実は、大腸菌等の「細菌」は自分の力で増殖できる。つまり生物である。
「ウイルス」は、自分の力では増殖できない。細菌とは根本的に性質が違うものなのだ。
抗生物質は生物である「細菌」にのみ効果がある。
では、ウイルスとは一体なんなのか?
「ウイルスは生き物ではない。遺伝子がタンパク質にくるまれている。
子孫ウイルスを残す為に、動物や人間の細胞に侵入してそれを乗っ取ってその細胞の中で増殖する。」
ウイルス=遺伝子
ウイルスが細胞内に侵入し増殖を始めると、生物にしか効かない抗生物質ではそれを抑えることはできない。
では我々はどうやってウイルスと戦えばよいのか?
そこで有効となるのが、ワクチンの予防接種。
ワクチンとは一言で言うと、ウイルスの毒性を弱めたもの。それを体内に注射すると、ウイルスの侵入を感知した特定の細胞が体を守る為にウイルスを退治する抗体を作る。これは言わば、自分の体を守る「兵隊」のようなもの。そして抗体はウイルスを攻撃・退治する。
前もって兵隊を要請しておけば、強力なウイルスが体内に侵入しても、慌てること無く退治することができる。
つまり、予防接種をすることでウイルスと戦う準備をしている。
しかし、予防接種にも問題がある。
ワクチンを開発するには大抵、患者からウイルスを採取する必要がある。
だが、新型コロナウイルスの場合、当然これまでに患者はいない。その為、ワクチンが開発できない。たとえ患者が現れ始めても、新型コロナウイルスのような未知のウイルスの場合、ワクチンの製造にはかなりの時間がかかる。
果たして、今回の新型コロナウイルスの感染は世界的に拡大するのだろうか?
ここで、気になる事実がある。
あなたは覚えているであろうか?
●年前にアジアを中心に大流行し、世界を震撼させた感染症SARS(重症急性呼吸器症候群)。このウイルスに冒されればわずか数日で呼吸困難等で死に至る。原因となったウイルスは「サーズコロナウイルス」。
実は、今回の新型コロナウイルスとは非常に近い種類なのだ。
「新型コロナウイルスはSARSの時のように世界規模で大流行(パンデミック)の可能性がある。」
世界的な大流行「パンデミック」
感染症が人から人へと連続的に感染し大陸間を超えて大流行すること。
実は人類はこのSARS以外にもこの恐るべき現象を過去に何度か経験している。
100年ほど前に流行した「スペイン風邪」は全世界で5億人以上が感染。4千万人以上の死者を出した史上最悪のパンデミック。
我が国でもそのウイルスが侵入するやわずか3週間で全国に拡大。
患者数は当時の国民の半数近く、2300万人。犠牲者はなんと45万人に及んだ。
当時に比べ飛行機などの交通網が飛躍的に発達している現在、感染症の世界的大流行は起こりやすくなっている。そしてそんな現在、今からわずか●年前に、一つのパンデミックが現実に起こっていた。
メキシコから発生しあっという間に世界中に感染が拡大。日本でも死者を出したあるウイルスを例に、パンデミックの恐ろしい実態に迫る。
最近の起きたパンデミック
未知の新型インフルエンザウイルス
「豚インフルエンザ」
メキシコ南部、人口およそ3000人の小さな町「ラグロリア」。
2009.3、この町に住む5歳の男の子の発症が皮切りとなった。
症状は高熱と頭痛と呼吸困難に苦しんでいた。
この頃から町では男の子と同様の症状を訴える人が相次いだ。
感染は広がり町の人口の6割にあたる1800人に及んだ。
「症状はインフルエンザに似ているが季節はずれ」
医師では判別が付かず、アメリカの専門機関(疾病対策センター【CDC】))へのどの粘膜のサンプルを送り検査を依頼した。
そのわずか数日後、事態が急変。男の子の住む町から約600kmも離れた病院で、同様の症状による、メキシコで最初の死亡者が出てしまった。
やがて原因不明の病はメキシコの首都「メキシコシティ」でも猛威を振るい始めた。
「ラグロリア」に住む男の子の発症からわずか1ヶ月の間に、感染が疑われた患者の内、159人が死亡。
一方、男の子のサンプルを受け取ったCDC。その研究員が青ざめた。
「我々が知る地球上のどのウイルスとも一致しない」
CDC アメリカ疾病対策センターは感染症の研究では世界一の信頼を誇っている。その機関が「未知のウイルス」であると
ついにその恐怖は国境を越えアメリカにも感染が及ぶ。
西海岸の都市「サンディエゴ」に住む少年とその隣町に住む少女が感染。数日後この二人から採取された粘膜のサンプルを分析したところ、すべて同じウイルスであることが判明。そしてその正体は、「豚インフルエンザ」。
新型インフルエンザウイルス「豚インフルエンザ」
ではなぜこのウイルスに3人は感染したのか?
インフルエンザとは何か?
インフルエンザはもともと水鳥の病気。
鴨など水鳥の体内には無数のウイルスが存在する。これらウイルスはすぐに悪さをすることはなく、共生関係を築いている。
しかし、ウイルスが突然変異すると、鶏へと感染し猛威を振るう。
これが「鳥インフルエンザ」である。
同様に、豚に感染したのが「豚インフルエンザ」。
ウイルスは「変異」することで他の動物や人間にも感染が可能になる。
「もともとが動物の病気。その為人間には免疫が無い為感染しやすく重症化しやすい。
新型コロナウイルスも動物がルーツとされている。人はこれに対し免疫を持っていない。
実は人にもコロナウイルスの病気はある。しかしそれは軽い風邪程度。
その為、「人の病気としてのコロナウイルス」に対しては、予防や対策はあまり重要視されていなかった。
●年に起きたSARSという重症な肺炎がパンデミックになった。調べてみると驚くことにSARSもコロナウイルスだった。
中東で流行し、死者も出している新型コロナウイルスはSARSに近いとされている為WHOも緊張している。
ワクチンは、インフルエンザの場合、早くても半年。国民全員にワクチンがいきわたるまでには1年はかかる。
ちなみにSARSのワクチンはまだできていない。
大流行しているサウジアラビアは日本との貿易が盛んな国。
多くのビジネスマンが日々が行きかう。日本への侵入を食い止める方法、もし侵入してしまったら
メキシコから始まった豚由来の新型インフルエンザ。
メキシコでの感染者は最終的に65,000人、死者は600人を超えた。
続く